こんにちは、yattyuです。
私が長らく登山を企んでいる蝙蝠(こうもり)岳という山があります。
蝙蝠岳へのアプローチ調査のため、沼平から二軒小屋へ自転車を漕いできました。
沼平ゲートを起点にした登山を検討されている方の参考になれば幸いです。
蝙蝠岳は標高2,865mで、地図を見て頂くと分かる通り
静岡県のほぼ北の果て、西には長野県、東には山梨県に挟まれた地域の山です。
100名山や200名山などには入らないので
南アルプスに行ったことがある人でも知らないくらい、マイナーな山。
蝙蝠岳の何が良いかって、
その長くたおやかな蝙蝠尾根の形と、稜線上にスラッっと伸びる蝙蝠岳の山頂。
そしてアクセスが悪すぎて殆ど人が来ないという秘境感。
週末の1泊2日で行くにはかなりハードルが高く、それゆえ高まる憧れ。
蝙蝠岳へのアプローチ方法
蝙蝠岳へのアクセス方法としては、
①沼平ゲート(静岡県)から大井川沿いを北上する
②鳥倉登山口(長野県)から三伏峠、塩見岳を経由する
③新倉登山口(山梨県)から転付峠、二軒小屋を経由する

②の鳥倉登山口~塩見岳への登山経験はあり、
塩見岳からさらに蝙蝠岳へ足を延ばすと1泊2日ではかなり厳しいと思います。
③の新倉登山口~転付峠は2023年に下見登山を行い、これもかなりハードであることを確認済。

そして今回、①の沼平ゲートから蝙蝠尾根へ自転車でアクセスしてみることを検証してみました。
沼平~二軒小屋まで
4:50 沼平ゲート発

午前0時くらいに駐車場に着いて、仮眠しました。
自転車は6段変速付きの折り畳み自転車で、サスペンションや電動アシストはありません。
沼平ゲートから先はマイカーや原付は通行できず、
どこかしらの宿に泊まる人が乗れるバスか、自転車のみ通行できます。
ゲートの黄色い看板にも小さく、(自転車は除く)とありますね。

ここの林道は南アルプスの中でも全般的に勾配が緩く、舗装が進んでいるので
自転車を積んでくれば奥地へのアクセスが容易になり、
畑薙大吊り橋のほか、聖岳登山口や赤石岳の登山口にはいつも複数台の自転車があります。
ゲートの横には、ギリギリ自転車が通れるだけの隙間が。
自転車以外は絶対に通さないという信念を感じます。

沼平ゲートから先は↓の様な感じで、綺麗に舗装が進んでいます。
少なくとも2014年頃はデコボコの砂利道だったので、リニア工事の効果でしょうか。
マウンテンバイクでなくても普通に走れますよ。

畑薙大吊り橋が見えてきました。(写真だと橋が細すぎてみえづらいかも)
朝霧がかかって、秘境感を増してくれます。

沼平ゲートから20分:畑薙大吊橋に到着
歩くとコースタイム40分なので、自転車だと半分ですね。
茶臼岳や上河内岳登山の起点になる場所です。
ここまでなら、わざわざ自転車を積んでくるまでも無いかなーというレベル。

この畑薙大吊橋、某ゆるいキャンプのアニメで主人公の友人がはるばるやってくるシーンがあり、ちょっとした聖地化してます。(画像引用元:ゆるキャン△×静岡県リンク)

自転車では↓の様なパッと見た感じ簡単に登れそうな坂も、
フトモモへのダメージは大きく、何度も出てくるので無理せずに下りて押します。
自転車で行きついた先が登山の始まりなんですから、自転車で燃え尽きてはだめなんです。
平らな場所や下りで乗るだけでもかなりの時間短縮になるので、無理して登りを頑張らなくても大丈夫。

沼平ゲートから30分:中ノ宿吊り橋 通過
布引山の南に上がるルート。ここから笊ヶ岳に登る人っているのかな?
コケむし感が良い雰囲気。

沼平ゲートから1時間10分:赤石ダム到着

ダム分の高さを上げるため、この辺りの登りは特にキツイ。
地図ではこんな感じで、グニューンと曲がりながら上がっています。

エメラルドグリーンの赤石ダム。めっちゃきれ~い!
ひと時の癒し。

少し進んで振り返ると聖沢が赤石ダムに合流する箇所が見えました。

そして写真をよく見ると、手前のガードレールが根元から曲がって落ちてます。
どう見ても落石ですね。怖い怖い。
沼平ゲートから1時間40分:聖沢登山口

私が過去に聖沢ルートを下山し、沼平ゲートまで歩いた時は3時間かかっており、
自転車なら半分に短縮できるのであれば、静岡県側から聖岳に行く場合は
自転車を持ってきてここから登るのも十分アリだと思います。
沼平ゲートから2時間:千枚岳登山口
荒川三山の入り口でもある、千枚岳の登山口を通過。
かれこれ10年以上前にここから入山しました。この日の確認ではロープで通れない様に封鎖されているので、もしかしたらどこかで崩れているのかも?

ここの少し手前、椹島ロッジ付近は急な下り坂だったので、
止まり切れずに通り過ぎてしまいました。
赤石岳登山口や椹島ロッジにも、人力のみの自転車で約2時間で到着できます。
沼平ゲートから先には、6か所ほど有料で渓流釣りが出来る場所があり、
付近の看板によると、椹島ロッジで受け付けすると釣りが出来るそうです。1日4000円。

途中でクロスバイクに乗ったチャリストの方に追い抜かれる。
二軒小屋まで行って帰るそうです。
その方曰く↓の写真の左側の広場が燕沢の土捨て場で、
リニアの南アルプストンネルの工事で出た土を捨てる場所だそう。

椹島ロッジから二軒小屋までは道がなだらかで川と同じくらいの傾斜しかないため、
地図で見る距離の割に時間はかからないと思います。
途中、とっても綺麗な直線の森を抜けたり、

すごい角度でショベルが停止していたり、

そんなこんなで、手入れの行き届いた感じの場所につきました。

沼平ゲートから3時間:二軒小屋ロッジ着!!
ゲートから距離にして27km。標高差400m。
いやー遠い、遠すぎる~。
ここに来るという明確な目的と準備が無いと、絶対に来れない。
二軒小屋ロッジ
二軒小屋ロッジの状況を簡単にレポートします。
一言でいうと天国、地上の楽園
ロッジの外観ふくめ、写真を何枚か掲載します。



2025年6月現在、二軒小屋ロッジは宿泊・テント泊いずれもできません。
リニア工事関連の方の滞在施設になっています。
フカフカで綺麗な芝生なのに勿体ない!!
鹿のフンは沢山転がっていました。


ロッジの片隅には水を汲める場所があり、

汲んだ水をよく見ると小さい砂らしきもの。

持ってきたコッヘルの洗い残しかと思いましたが、何度汲んでも同じでした。
本物の南アルプスの天然水だけに、ミネラルが有り余るという事なんでしょう。
味は問題なしです。
ちなみに水が汲めたのは、地図で見るところのこの辺り。

自然から頂いた水を使って栄養補給タイム。

こういった場所でカップ麺の汁は捨てられないので、飲み干すかボトルに入れて持って帰りましょう。私は飲み干せるようにあっさり系の味を選んでいます。
綺麗なのに誰も居なくて、本当に静かで落ち着く場所でした。
二軒小屋ロッジ~蝙蝠尾根取り付き
栄養補給を終えて、目的の蝙蝠尾根への取り付きを目指します。
二軒小屋ロッジのすぐ隣には田代ダムがあり、近づくと田代ダムから大井川方面に流れる水の轟音が鳴り響いていました。

少し余談。
私は田代ダムの事を本当にクレイジーな建築物だと思っていて、
簡単に説明すると大井川の水を堰き止め、山梨県側の早川との標高差を活かして早川に落とす仕組み。トンネルを通して山を貫通させ、早川に水を落とす発想自体が凄すぎるし、工事着工がなんと1924年で完成1928年。今から100年前の人がこれを着想・設計して、まともな道も重機も無い秘境でその工事をやり抜く・・・
ダムマニアではない私でも、このダムを知ったときは心をビシバシ打たれました。

二軒小屋ロッジのすぐ先にゲートがあり、自転車も通れなくなりました。
持ち上げれば通れなくもないですが、この先は斜度もきついし、
すぐに道もなくなるので自転車で無理に通る意味も無いです。

ゲートのすぐ向こう側にも、天国な景色が広がっていました。
皇室の方が談笑しながら川沿いを歩く様子が浮かんできませんか。

蝙蝠尾根への道中。
苔むしすぎた法面ブロックが、ここの環境と歴史を感じさせてくれる。

二軒小屋から15分ほど進むと、大井川の西俣と東俣の分岐地点。
左に上がっていくと西俣方面、右が東俣方面です。

地図ではこの部分ですね。

西俣も東俣も人が殆ど来ない超秘境エリアであり、
ひじょーーーーに探求心をくすぐられます。
そして西俣と東俣に挟まれた尾根こそが、目指す蝙蝠尾根。
大井川源流は知床や雲ノ平、黒部峡谷よりも秘境感が強いと思っています。
“最後の秘境” なんて呼ばれる場所でも実際は登山客・観光客で溢れていたり…ボソ
二軒小屋から30分で蝙蝠尾根への取り付きに到着。
当然、道標はあれど明確なルートではないですね。

こんな僻地の登山ポストに、投函されたことはあるのかな?
仮に投函したとして回収されるのかな。
取り付きの近くは良い感じの広場があり、いざという時にはビバークできそう。

すぐ横には大井川の東俣が流れていて、南アルプスの天然水が飲み放題です。
ここの景色自体がもう天国ですし、お金払ってでもこの川べりに泊まりたいくらい。

蝙蝠尾根取り付きから先、東俣のさらに奥に道が続いています。
今日は日帰りで帰らなきゃいけないので、行きたい気持ちを抑えて帰るとします。

二軒小屋ロッジから沼平ゲートまで、帰りは1時間45分で戻る事ができました。
ほぼ下りなので、行とは逆にスピードが出過ぎて怖い事もしばしば。

ブレーキを強く握らないとスピードが制御できないのと、
振動が激しいせいで手とお尻がやられました。
まとめと考察
今回、蝙蝠尾根までの下見という形で取り付きまでアプローチしました。
所感としては、
・所要時間的にも体力の消耗的にも、アプローチとして成立する
・転付峠を越えてくるよりも楽そう
・夏にテン泊装備を持って挑む場合はさらに暑く、重いのでそれなりの覚悟が必要
快適にしようと思えば、お金をかけて
電動アシスト、前後サスペンションつきの自転車を買えば相当楽になるはず。
ただこのために10万、20万かけて買うかというとそこまでは行かない。
ギリギリ努力と根性で乗り切れる範囲だと思いました。
あとは本番でタイヤがパンクしない事を祈るのみ。
夏に蝙蝠岳へチャレンジできれば、報告します!
補足情報
今回はスルーしちゃったんですけど、
途中の椹島ロッジも十分すぎるくらい天国な場所です。
2012年に悪沢~赤石岳登山後に宿泊した際の写真を何枚か掲載します。






登山後、こんな場所でキンキンに冷えたビール飲めたら、
他には何もいらないでしょう。悩みなんて消えちゃいます。
椹島ロッジは2025年は4月26日~11月3日まで営業しているそう。
この立地と景色で1泊2食付きで15,000円は破格も破格だと思います。
上高地に行っている場合じゃないですよ!
登山とは関係ないのですが、
今回の蝙蝠尾根下見の写真はソニーの無料現像ソフト「Imaging Edge」を使用しました。

これまではAdobeの「LightRoom」を使っていて、
2025年1月にサブスク料金(月払い)が値上げされた事で継続をやめたのですが、
変えた印象としては、Imaging Egdeはハイライトやシャドーの調整範囲が狭いなーという印象。
もう少し影を持ち上げたい、白飛びを抑えたい という時に
パラメータをMAXいじってもまだ足りない。
YAMAP、ヤマテン、アマプラ、DMM TV…
これ以上サブスクを増やしたくないのにどうしよう。
誰か安くてオススメの現像ソフトあったら教えてください。
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