【南アルプス】塩見岳・小河内岳 その②

この記事は【南アルプス】塩見岳・小河内岳 その① からの続きです。
その①はコチラ

【南アルプス】塩見岳・小河内岳 その①
こんにちは、yattyuです!2023年夏の南アルプスは7/22~23で三伏峠を起点とした塩見岳と小河内岳に行ってきました。春の段階では今年下見した転付峠を越え、二軒小屋から蝙蝠尾根を目指す事も考えていたのですが、転付峠までの登りだけで結構...

1日目は鳥倉登ゲートから三伏峠、そして前小河内岳ピストンで終了しました。
2日目は塩見岳まで行って戻ってきて、下山する予定。
アップダウンは少ないものの、行動時間としては結構眺めの予想です。

三伏峠小屋~塩見岳

7月23日(日) AM2:00 起床

早起きにも程があるって感じですよね。
でも目的は塩見岳山頂で良い景色を見る事。

想定では三伏峠から塩見岳山頂まで約4時間、そして朝の早い段階からガスに覆われるとの事。
となれば一刻も早く出なければなりません。

起きてすぐのテント内側の様子。
さすがのシングルウォールで、結露でビショビショです。
寝ているときは気付かなかったのですが、寝袋の足先がテントの壁面に接して
シュラフが少し濡れてしまっていました。

結露でビショビショのテント内。

結露ふき取り用の雑巾を1枚持ってきた方がいいですね。
夜中目覚めたときに1回ふき取るだけで結構違いそうですし、朝テントをたたむ前に軽く拭くだけで
少し軽くなりそう。

AM2:30 三伏峠テン場出発

日の出時刻が5:00頃なので、明るくなる4:30頃までの約2時間、暗闇の森散歩です。
夜の森をヘッドランプの灯りを頼りに歩くので、いつも歩き出しは少し不安で怖くて無防備なので、
「この瞬間に熊と出会ったらどうしよう」
なんて考えてしまいますが、体が温まってくる頃には不思議と夜の森にも慣れてくるんです。

2:46 三伏山山頂通過

三伏峠から塩見岳に着くまでに3つほどのピークを越えていきます。
一つ一つは50M~150Mくらいのアップダウンで、それほど大きな山はありません。

3:40 本谷山通過

暗闇と霧の中をただひたすらに進む。
夜歩くメリットとしては、日光を浴びないので涼しい所くらいでしょうか。
三伏峠から塩見岳までのルートは非常に明瞭なので、
夜かつ霧の中でも迷う事はないでしょう。

権右衛門山を過ぎたあたりで、日が昇ってきました。
日の出前30分前~日の出後1時間くらいが、個人的に一番山がきれいに見えると思う瞬間で、
この瞬間を良い場所で迎えるために、全ての時間を調整しています。

北東側、北岳方面から昇るお日様とご対面。

5:05 塩見小屋手前にて

小屋の少し手前にある看板。
「もうじきだにー!」 三河弁に近い!?


5:11 塩見小屋着

塩見小屋は2018年にリニューアルオープンして、かなり綺麗です。
小屋泊の方々が出発の準備をされていました。(小屋内部の写真は後ほど)

塩見小屋は2棟からなる

東側にはもはや雲がそれなりの高さまで上がっています。
ヤマテンでも終日キリの予報だったので、休憩はそこそこに早めに移動します。

塩見小屋にある展望エリアから1枚。
塩見岳の力強さを間近で感じる事ができます。
知らない人に「早月尾根から見た剱岳だよ」って言っても信じてもらえるんじゃないかと。

塩見小屋から見た塩見岳

↓は早月尾根から見た剱岳。・・・さすがにちょっと違うか。

2013年6月 剱岳早月尾根にて

先を急ぎます。
塩見小屋から少し登ると森林限界を超え、これまで歩いてきた稜線がくっきり。
空気が超気持ちいいー。

歩いてきた稜線を振り返る。左の丘が本谷山、右に小さく塩見小屋が見える。

塩見岳の手前、天狗岩という岩場を越えていきます。
天狗岩以降には要所に新しめの鎖が設置されており、岩場が不慣れな方でも安心して登れます。
岩が安定していてホールドもしっかりあるので、鎖を使わなくても登れます。

写真では結構高度感ありそうだけど、実際はそうでもない

天狗岩に挑んでいくKさん。
初めての南アルプスとは思えないほど、テンポよく進んでいきます。
私も写真を撮りつつ追いかける。

天狗岩を抜けるといよいよ塩見岳本峰のお目見えです。
南アルプスでは珍しい雰囲気を纏う山で、写真を撮影した付近から見ると
それこそ1枚の岩壁の様に見えます。

天狗岩からみた塩見岳

落ちてくる石に注意して、
そして自分自身も石を落とさない様に、慎重に歩く。

岩場に咲くチシマギキョウ。
こんなに厳しく、荒々しい岩場にも花が咲くんですねー。
朝露に濡れて瑞々しい。

振り返ると、はるか下に天狗岩と塩見小屋。
すばらしい高度感です。

北側には霞む仙塩尾根。相変わらず長い尾根です。
縦走する人はここを歩き抜けるんだから、感心します。
私は縦走したくても、4日以上風呂に入れない事に耐えられないでしょう。
自分が臭すぎて、頭が痒くなって途中で下山すると思います。


AM 6:10 塩見岳山頂着
三伏峠から3時間40分、塩見岳の山頂につきました。
↓は西峰から見た東峰。
東側はこの時間から既に雲が湧いてきています。
夏場でも通常9時~10時位まではそこそこ眺望あるのですが、この日は湿度高めで雲が早い。
ヤマテンのキリ予報はしっかり当たってました。

塩見岳山頂から見た小河内岳、三伏峠方面。
あちらも既に雲が湧いています。ベストは5時くらいだったかなぁ。
でも日の出前に塩見を登るのも結構怖いと思うので、この日はこれがベストだったと信じましょう。

一応、今回の山行の目的は達成できたので、
東峰山頂でゆっくり朝ごはん。

コロッケバーガーはエネルギー補給的には十分でもちょっとヘビーでした。

東側には雲の隙間からかすかに見える蝙蝠尾根、来年電動チャリを買って行ってみようかなー。
いや本当に行きたい。
きっとあの尾根の上には誰も居ない、山と自分だけの世界が広がっているんでしょう。
想像したらゾクゾクしてきます。ゾクゾクしたら記事を書いている途中でトイレ行きたくなってきた。

塩見小屋~帰還まで


AM7:30頃 塩見小屋に戻る

売店は7時からの営業でちょうどよかった。
飲み物の残量に不安を感じ、塩見小屋でコーラを1本(500円)購入しました。
平地では考えられない値段でも、普通に払えてしまうのが山マジック。
運んでくるのが大変でしょうから当然です。

恐らく食堂 兼 売店スペース

受付にある情報を載せておきます。
泊まる場合、素泊まり10,000円だったら追加で3000円出して2食付きにするよね。
同僚のKさんは、三伏峠小屋と併せて4個ものバッジを購入されていました!
塩見小屋はQuickPay等のキャッシュレス決済にも対応していますが、この時は電波状況が悪く
現金のみの支払いとなりました。

塩見小屋の受付

こちらが就寝スペース。
2段になっていて、2畳のスペースをさらに仕切りで1畳分に区切られています。
木が新しくてとても綺麗です。


という事で、塩見小屋で一服した後はひたすら森の中を三伏へ引き返します。
行きは暗闇であまり見えなかった森の中、しらびその木々が美しい。
綺麗な森の中を歩いているだけで、エネルギーを消費するのではなくチャージされていく感覚。
ショッピングモールでは10分でしんどくなるのに、ずっと歩いていたいと思うんです。

心拍、呼吸、汗、ザックの重さ、涼しい風、日の光、土と木のにおい、
足で感じる色んな質感の地面、抜けきらない脚の疲労、自分しかいない空間・・・
全てが心地よいんですね。

そして明日は仕事に行かなきゃという現実。

帰りと言えど長い道のり、30分に1回程度の休憩を挟みながら進みます。
モラル的に問題ないのなら森で幕営して過ごすのが一番楽しいんでしょう。
夏はダニとか虫が結構いそうなので冬がいいかな。

AM 9:40 三伏峠に戻る

出発がAM2:30なので、この時点ですでに7時間の行動。
重い荷物を持ったアップダウンは少ないものの、7時間動くと当然それなりに疲れます。
テントは全然渇いていなかったので、帰ってからしっかり干します。
2泊以上だったら、早めに着くか遅めにでるか、乾かすための時間的な余裕が要りますね。

テントを撤収して栄養補給としばし休憩をとる。


あとは登山口までひたすら下るのみ。
時折、日が差し込む森の中を腿と膝をいたわりながら下る。
下りでも踏ん張るとエネルギーを使うので、結構汗をかきます。

登山あるあるなんですが、
何時間も歩くので、その歩く間にいろーーーーーんな事を頭の中で考えます。

例えば・・・
南アルプスに来るたびに、“時間制限のない登山”をしてみたいなーっていつも思います。
サラリーマンとして雇われて仕事をしている限り土日の1泊2日で帰らないといけないし、
家族、子どもが居れば自分だけ山で遊んで暮らすわけにもいきません。
「明日天気悪そうだからもう1泊停滞して、あさってご来光を見て帰ろう」なんてことは無理です。
スマホの電池切れちゃった(笑) で連絡が途絶えては家族がパニックになります。

60代くらいの方が山小屋に泊まりながらじっくり縦走されているのを見ると羨ましい。
(逆に向こうは、早く登れる若さが羨ましい って思っているかもですが)

人間ないモノねだりをしても仕方が無いので、このブログのタイトルにもある通り
虎視眈々と時間とお金からの解放を目指していきます。
65歳で退職してからでは遅いんです!!
人生100年と言えどその中で自由に、かつ健康で山を歩ける時間はどれくらいあるでしょうか!?


・・・・ってな感じで、一人で歩くと自分と向き合う時間が多いので、
今回の反省点、自分や家族の将来、次に登る山、仕事の悩み等の考えが整理されてきます。
今回は2人登山なので適度に会話しつつ下って、無事に登山口に帰還できました。

その後はダラダラと林道を1時間歩き、13:20に駐車場に到着
林道歩きは本当にチャリでショートカットしたい。

朝?起きてから11時間、結構タフな歩きとなりました。

個人的には、登山を本気で始めるきっかけとなった小河内岳へ11年ぶりに行く事ができて
そこそこ天気のよい塩見岳に登れて満足な山となりました。

そして翌週、会社の昼休みに今回同行したKさんに会うと、
さっそく南アルプス地図を眺めながら「次に登るとしたらどこがいいか?」真剣に考えていました(笑)
果てしなく広い世界の入り口に立ってしまったのかもしれません。


今回の山行はYAMAPにもアップしてますので、よろしければ↓クリックしてご覧ください。

南アルプス塩見岳、小河内岳 2023.7/22-23 / yattyuさんの本谷山(長野県)前小河内岳三伏山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

コメント

タイトルとURLをコピーしました