登山の大事な要素 体力③ (トレーニング)

それなりの高い山(目安:標高差1000m以上)に行く前に、どれだけトレーニングをしたら良いのか?
私yattyu目線で書きます。
まだ高い山にチャレンジしたことが無い方や、経験はあるけどしんどい思いをした方に
読んでいただければ幸いです。 

この記事は、過去に投稿した山と体力①、山と体力②の続編になります。

結論を先に書くと、本番で少しでも楽に登るために、事前にしんどい思いをします。
本番(山)でしんどいのか、事前に(平地で)しんどいのかの違いです。

もちろん、事前にしんどい思いをした方が、本番で山を100%楽しめるし、
本番でしんどい=遭難のリスクが高いという事です。
事前のトレーニング無しで、ぶっつけで山に行くのは本当に危険な行為です。

理想を言うと、山のトレーニングは山でするのがベストですが、
ほとんどの人にとって、時間的に頻繁に山でトレーニングする訳にもいかないでしょう。
どれくらいトレーニングが必要かは、次にどの山を目標とするか、普段の生活でどれだけ
運動を取り入れているかで変わりますが、基本は2つの要素を抑えてトレーニングすると、本番はかなり楽になります。

“心肺機能”と”脚の筋力”の2つです。

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 心肺機能を高める

登山は山と体力①で紹介した通り、サッカー、テニスや水泳と同じくらいの運動強度の運動を
何時間も継続する激しいスポーツです。
運動強度(メッツ)は、消費する”酸素の量”を基準にしていますので、
登山を長時間継続するには、その間、体に酸素を安定供給するための心臓と肺が必要です。

運動強度メッツ(抜粋)

心肺機能を高めるのは平地でできます。ランニングです。
ランニング・・・しんどいですよね。
この記事を書いている私も、昔からランニングやマラソンは大・大・大嫌いです。
しんどいから。

ランニングイメージ (ぱくたそ様)

小学校の耐寒駆け足やマラソン大会は虐待だと思っていましたし、
マラソン大会なんて憂鬱で仕方ありませんでした。

目標ペースは6分/km

余裕をもって山を歩けるランニングのペース目安は、6分/km で30分~1時間継続して走れること

30分で5km、1時間で10km走るペースです。
このペースは運動強度でいうと10メッツくらいになり、
10メッツは心肺機能的には重い荷物を背負った登山よりも少し厳しいレベルに相当します。
10メッツくらいの負荷で体を慣らしておくことで、
通常の登山における心肺の負荷はかなり楽に感じる事ができます。

この6分/kmというペースは、走り始めの時期は確かにシンドイです。
ところが、2週間~1カ月くらい継続すると、どんどん楽になります。

ちなみに、マラソン選手のフルマラソンのペースが3分/kmなので、倍の速度で42km走る…
超人ですね。

ランニングは特に、最初の1~2回が特にしんどいと思いますが、
その苦しさが登山本番だったとすると、果たして良い思い出になるでしょうか。

高山病にも効果あり

高山病の原因は酸素の供給不足(酸欠)です。
King of 有酸素運動である登山において、体や脳への酸素供給量が不足すると頭痛やめまい、吐き気がします。

私は山で高山病(酸欠)になった事は無いのですが、学生時代の部活動では経験があります。
試合に負けた罰のダッシュを連続で走って酸欠になり、グランドの隅でゲボゲボ嘔吐していました。
“スラム〇ンクの陵南高校の魚住君”と同じ状態ですね。 

魚住君 スラムダンクより

心配機能を高めておくと、高山病(酸欠)のリスクを抑えることができます。

脚の筋力を高める

すみません、これは山でしかできません。
マンションや通勤で階段を使うにしても、筋力を高めるには至らないでしょう。

ただ実際にトレーニング目的だけに頻繁に山に行く事は難しい方が多いと思います。
ですので、目標とする山に行く前の週と、
可能であればその前の週の計2回、近所の山(標高差500mくらい)に行ってください


2回が難しければ最低1回でも!!
500mも登れる高さの山が近所に無ければ、小さい山を2~3往復するのも手です。

1回登ると、普段ランニングしていても筋肉痛が来ます。
使っている脚の筋肉が違うからです。
そして2回目は本番と同じくらいの荷物を背負って登ります。
するともう一度、筋肉痛が来ます。

2回筋肉痛を乗り越えた脚があれば、
国内の3000m級登山において登れない山はありません。


逆にトレーニングしていない脚でそれなりの山に行くと、下りの途中で足がつります。
つまずいて転倒したり、運が悪いとそのまま滑落します。誰かが見つけてくれたらラッキーですね。
もし「道を間違えたかもしれない」と思っても、
下ってきた道を再び登り返す体力や筋力もないでしょう。

体重は出来るだけ落としてから行こう

山に持っていく荷物の重量って、結構シビアに考えますよね?
「要るのか要らないのか、もっと軽いもので代用できないか」
荷物が重いほど負荷が大きくなるので、
多少値段が張っても軽い道具を買ったりします。


荷物の軽量化を考える前に、自身の体重管理はどうでしょうか?

体重は軽い方が良い
言われなくてもそんなことは至極当たり前なんですが、
登山に行くとしばしば、綺麗な曲線を描くポッコリお腹を見かけます。
標準体重の人と比べて少なくとも10kgはハンデを背負って山に来ているはずです。
重量を10kg減らす事ができれば、飛躍的に楽になるし、減量した代わりにおいしい食べ物や
お酒を持ってこれます。

荷物を10kg軽くするのは無理がありますが、体重を落とすのは簡単です。
ダイエットは誰の協力や助けも必要とせず、自分だけでできます。
参考までに下のグラフは私の今年2022年3月~6月までの体重の推移です。
スマホアプリで記録してきました。

私の身長は180cm、標準体重は72kgです。
冬の間、運動をせず食べたいだけ食べてきたため、78kg付近まで太ってましたが、
今年の7月に南アルプスに行く事を想定して、3月くらいから減量をはじめました。
減量方法についても、また別の記事で紹介します。

以上、登山に行く前の準備として、心肺機能、足の筋力、ダイエットを紹介しました。
「ランニングも筋力もダイエットも、36歳だから(若いから)できるんだろう?」と思われるかもしれません。
確かに、加齢による衰えや代謝の低下は、今後間違いなくあると思います。
加齢による老化は未経験なので私には正直分かりません。
ただ、年齢やハンデがあるから、十分なトレーニングや減量をしないでどんな山でも
安全に楽しめるかというとそんな甘い世界ではありません。

怠慢や加齢で衰えるからこそ、それをカバーするためのトレーニングを行い、
目標とする山に挑むだけのトレーニングが継続できなくなった時が、その山の引退時期だと思います。

これまで、登山を成功に導く重要な3要素として、
1.山と靴
2.山と体力①②③
を紹介しました。

3つ目の要素はまた後日紹介します。3つ目は「天気」です。
この3つの要素さえちゃんと抑えておくと、ゆとりをもって登山を楽しむことができ、
一人登山であっても遭難のリスクもグッと抑えることができると私は思っています。
登山は凄くハードなスポーツですが、山に行く皆さんが少しでも楽に、
安全に行って帰ってきて欲しいと思います。

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