【南アルプス】おすすめ出来ないけど良いルート② 聖岳(沼平発)

こんにちは、yattyuです。

今回は南アルプス最南端の3000m峰、聖岳を紹介します。
聖岳の登山記録はたくさんあると思いますが、私の過去の記録も踏まえて
アクセスやアプローチを含めた目線で、おすすめや注意点を書きたいと思います。
聖岳登山で一番しんどいのは、歩き始める前のアクセスかもしれませんので。

過去に紹介した南アルプスのおすすめルートは以下の記事もご覧いただければ幸いです。

【南アルプス】おすすめルート① 小河内岳
広大かつ沢山の山々がある南アルプスの中で、どこからチャレンジするか迷う方も多いと思います。南アルプスには10座の100名山のや、9座の3000m峰があり、これらの名山・高山も非常に素晴らしい山々ですのでそこから始めるのも良いと思いますが、こ...

聖岳 標高3,014m ※百名山
体力度 ★★★★★ (1泊2日)聖平小屋泊
    ★★★★☆ (2泊3日)茶臼小屋泊+聖平小屋泊
技術度 ★☆☆☆☆ テクニカルな要素は無し
登山口 沼平(畑薙ダム)

ルートのPOINT
・茶臼小屋~上河内岳が天国
・眺める聖岳も素晴らしい
・聖沢ルートは癒しのルート
・アクセスがかなりしんどい
・歩きもかなりしんどい

単純にオススメできないというのは、体力的にもかなりシンドイという所からで、
事前にしっかりとトレーニングが必要です。

アクセス

聖岳は南アルプスの南部に位置し、深田久弥さんの100名山にも含まれるので、踏破を目指す方は
避けて通れない山です。
そして南アルプスの南部はとにかくアクセスが悪く、静岡県に住む私yattyuでも
数カ月前からそれなりに覚悟を決めて挑みます。

聖岳へのアクセス、登山口候補は以下の2つ。
①芝沢ゲート
②沼平 (畑薙ダム)


①芝沢ゲートはGoogleマップではコチラ

Google マップ
Google マップで地図を検索。乗換案内、路線図、ドライブルート、ストリートビューも。見やすい地図でお店やサービス、地域の情報を検索できます。世界地図も日本語で、旅のプランにも便利。

芝沢ゲートの場所、皆さまの居住地から見てどうでしょうか?
かなり僻地にありますよね。
試しに東京の皇居からgoogleマップでルート検索すると、約5時間と出ました。
登り始める前に力尽きてしまいますね。

②沼平(畑薙ダム)はこちら

Google マップ
Google マップで地図を検索。乗換案内、路線図、ドライブルート、ストリートビューも。見やすい地図でお店やサービス、地域の情報を検索できます。世界地図も日本語で、旅のプランにも便利。

同じく東京の皇居からのgoogleマップ検索では約4時間。こちらもシンドイと言えばしんどい。
実際に行ってみると分かりますが、日本国内の陸でこんなに距離を走る場所があるのかと思うくらい、
山道を延々と走ります。

芝沢ゲートと沼平へはどちらも、東京からは”毎日新聞旅行”が運営されている毎日あるぺん号
というバスを使えば、直通でアクセスできるそうです。
今年の光岳登山の帰りに、東京から来られた方に教えていただきました。

登山バス|登山ツアー・登山バス・日帰りバスツアー・国内/海外旅行なら毎日新聞旅行「まいたび」
毎日新聞旅行(東京)による、竹橋・新宿発の新穂高・上高地・室堂といった北アルプス方面をはじめとした登山バスの予約、WEB決済が可能です。山小屋宿泊セットもおすすめ。


2つある登山口の中で、私は沼平を推しています。
理由は、芝沢ゲートまでの道は通行止になる可能性が少なからずあるのと、
茶臼小屋~上河内岳の稜線を歩くべきだからです。
南アルプスでは台風などの大雨があると、どこかしら崩れます。
私が2012年に初めての南アルプス、それも聖岳に同僚とチャレンジしようとした際、
芝沢ゲートまでのルートが崩落し、通れずに断念したという過去があります。

便りが島(芝沢ゲート)登山口までへの道が崩落して、アクセスできなかった

ちなみに、この時聖岳をあきらめて、気持ちを切り替えて向かった先が、
お勧めルート①で紹介した小河内岳で、小河内岳の素晴らしい景色に出会えたからこそ、
登山を生きがいとする今があると思うと、人生塞翁が馬というのも嘘ではないと思う次第です。

あと、登山口に着いたあとに雨が降って道が崩れたとして、
復旧までに何カ月もかかってしまったとしたら、もう一台マイカーを考えなければいけません。
実際そんなリスクは少ないと思いますが、静岡~東京の方からは芝沢ゲートへのアクセス自体、
遠すぎます。
岐阜、長野方面からでしたら芝沢ゲートの方が近いと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、
それくらいアクセスが大変なのが南アルプス南部。
アクセスが大変なだけあって人は少なく、これでもかという位に、静かに山と向き合う事が出来ます。
すれ違う人の多くは、いわゆる”ガチ勢”です(笑)

ルート解説 沼平~茶臼小屋

ここでは沼平をスタートし、茶臼小屋を経由して稜線へ上がり、
聖岳ピークハント後に聖沢を下るルートを紹介します。
天気次第では帰りも茶臼小屋経由で、往路と同じルートを戻ることも有りです。

過去の記録のGPSログを掲載します。


■駐車場
沼平の最前線の駐車場は15台~20台くらいのキャパがあり、
シーズン中は埋まってしまう事もあります。そんな場合は歩きで10分ほど離れたダムの真上に
結構なスペースがあります。
トイレと自販機もダムの駐車場側にあり、”山のトイレ”っていう感じであります。
10回くらい来てますがゲート前に停められなかった事はありません。
駐車場はスマホは圏外です。

駐車スペースはあまり困らない。

■畑薙大吊橋
畑薙大吊橋までは約30分の林道歩き。
2020年以降、林道の舗装も進んでおり、自転車を持ち込む方もいます。
畑薙大吊橋は長さ100Mくらい?あって、この橋を渡るだけでもスリル満点です。
(日の出前の暗い時間であれば、スリル3倍増し)

■ヤレヤレ峠
スタートから約1時間でヤレヤレ峠という、1つ目の休憩スポットに着きます。
この時点では余り疲れていないと思いますが、先の長い工程、軽く休憩と栄養補給しましょう。

なおこのヤレヤレ峠の前後は地図を見て分かる通り、
山の斜面に沿って歩く、いわゆるトラバースルートです。
場所によっては高度感があって道が脆い(一部雨で崩れたりしている)ため、結構気を遣う箇所です。

ヤレヤレ峠前後は、トラバースルート。

■ウソッコ沢小屋

このルートの2か所目の休憩スポットがウソッコ沢小屋。
無人の小屋で年中解放されています。
ウソッコ沢小屋までのルートで小さい吊り橋を3つ渡ります。
2019年の台風で橋と道もろとも流されてしまいましたが、その後の工事によって
2022年現在は新しい橋が架けられています。

沢を渡る新しい橋。
ウソッコ沢小屋。結構大きい。

■横窪沢小屋、茶臼小屋

ウソッコ沢小屋を超えると、怒涛の登りゾーンに入ります。
横窪沢小屋まで標高差500m、そこから茶臼小屋までさらに標高差800m。
一番エネルギーを消耗する区間なので、適宜休憩をとりつつ標高を上げていきましょう。

2020年、2021年は営業無し。水は引かれており汲むことができる。キャンプ場は解放されていた。

このルートの良い点として、沢沿いを登るルートなので
日の出後しばらくは直射日光を受けないのと、茶臼小屋までほぼ森の中を登るため、
結構涼しいです。
↓の樺段 という場所付近まで来ると、docomoの電波は入りました。

森の中をひたすら登る。

横窪沢小屋から茶臼小屋はかなり遠く感じると思います。
ただ茶臼小屋の景色が非常に綺麗なので、達成感は大きいはず。
かなり消耗しているはずなので、時間や体力的に不安がある場合、
ここで1泊することをお勧めします。
夏季営業期間以外は冬季小屋が無料開放されています。

茶臼小屋のある景色。

営業期間や予約等についての最新情報は以下↓↓のリンクを参照ください。

静岡市にある南アルプスの山小屋
ユネスコエコパーク登録で注目される静岡の、南アルプス玄関口、井川の魅力を発信してゆきます

茶臼小屋のそばを流れる沢は安定した水量があるので、
ここまで耐えられる分の水を持ってくれば補給できます。

茶臼小屋の沢は水が豊富

茶臼小屋から見る東~南側の景色は素晴らしいです。

小屋から白根南嶺とその向こうに富士山が見える

茶臼小屋~聖平小屋


■主稜線へ (ハイライト)

茶臼小屋から上河内岳を超えて聖平小屋までが後半戦。
芝沢ゲートではなくこのルートを選んだ理由でもある、稜線上の天国ゾーンに入ります。
↓↓の写真は午前8時ごろの写真で、夏は10時とか11時になると雲が沸き上がってくるので、
良い展望を見る為には時間を逆算して早く出ましょう。

茶臼小屋すぐ上の稜線。南アルプス屈指の展望地。

お花畑から望む上河内岳の絶景もポイント。
私は大体この辺りで体力が尽きます(汗)

お花畑から見える上河内岳

上河内岳への登り。爽快でキツイです。

この辺りでライチョウに会えることも。

上河内岳の山頂はルートから往復20分外れた場所にあるため、
ザックをデポして往復すると身軽になります。

上河内岳付近

上河内岳山頂は360°の展望です。
上河内岳は私が以前に別の記事でおすすめルートとして紹介しており、
100名山に入っていないのが不思議なくらい、山自体も綺麗で展望が素晴らしいです。

真正面には聖岳

少し視線を右にずらすと、南アルプス南部の大ボスの山々が並びます。

上河内岳から眺める、南アルプス南部の山々

上河内岳から約2時間、聖岳のふもとへ向かって下っていくと、聖平小屋につきます。
聖平小屋の営業情報も先程の南プス リンク先で最新の情報を確認してください。

2021年は営業しておらず、テン場と小屋の解放はアリ。

聖平小屋の水場は雨が定期的に降っている時期はテン場のすぐ下を沢が流れていますが、
雨が少ないと枯れるので、少し沢を下っていく必要があります。
また、スマホの電波はdocomoでも圏外です。
少し登山道に戻ると電波が拾える場所がありますので、家族と連絡を取るくらいの事はできます。
夕方ごろ、静かに過ごしたい方はお花畑の方で黄昏ている方もチラホラ。

聖平小屋の付近

聖岳山頂へ

■いざ聖岳へ

聖平小屋から聖岳の山頂までは、コースタイムで約2時間20分、標高差700m程。
私は山頂でご来光を見たい派 の人なので、
もし聖岳の山頂でご来光を見ようと思うと、夏場は午前2時半くらいには小屋を出る必要があります。
早すぎてシンドイという方は、日の出後に出発しても問題ありません。
また、荷物のほとんどは小屋において行ってOKですが、聖岳山頂往復も4時間くらい行動するので、
行動食と飲み物は相応に持って行きます。

誰も居ない暗闇の中の登山は、最初は結構勇気が必要です。
でもそれも30分くらい歩くと慣れますよ。

聖平小屋から聖岳までのルートで注意すべきところは小聖岳前後かと思います。
結構高度感がある場所もありますので、あせらず足元を照らしながら着実に歩を進めましょう!

小聖岳のボロボロの看板。慎重に歩を進める。

小聖岳周辺を明るい時間に歩いた時の写真が↓です。
高度感はありますが、道は1本道かつ明瞭なので、夜でも歩けます。

小聖岳から聖岳への登り

山頂でご来光を待ちます。
風を遮る物は一切ないので、防寒着やカッパを持って行きます。

ご来光の瞬間

聖岳から下りの景色。
昨日登った上河内岳や茶臼岳が綺麗に見渡せます。

朝日を受ける上河内岳方面の稜線。

下山へ

聖平小屋から沼平への下山は、
聖沢ルートを下って林道を歩くか、元のルートを戻るのどちらか。
どちらも結構な距離がありますので、体力に自信のある方は1日で、
不安のある方は、聖沢ルートを下る場合は椹島ロッジでもう1泊することをお勧めします。
聖沢ルートを下りてからからも、林道を約20km、下っていく必要があるためです。

聖沢ルートも明るい緑豊かな森の中を下っていく、癒しのルートでオススメです。

木漏れ日の中を下っていく。

聖沢の登山口です。
マウンテンバイクが沢山止まっていますので、ここまで自転車で来る人も多いんですね。
聖岳のみのピークハント目的であれば、ここまで自転車できて聖沢を登るのも有りです。

聖沢の登山口

さいごに

記事を書いていて改めて思いました、聖岳は遠い!
アクセスも歩きも遠いので、スケジュールに余裕があれば途中で2泊、3泊して赤石岳まで
一気に回ってしまうのも手です。

ちなみにこのルートで記録したYAMAPのデータでは消費カロリーが10,800kcalと出ており、
体力的にハードで有ることは間違いありませんので、
事前の減量とトレーニング、荷物の軽量化も十分に準備していきましょう。

登山におけるトレーニングも、私なりの考えで記事にしていますので、
もしよろしければこちらの記事もご覧ください。

404 NOT FOUND | Mt.yama-yama
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