【安倍奥】山伏(やんぶし)登山 2013m

こんにちは、yattyuです。

静岡県の安倍奥というエリアにある、山伏(やんぶし)という山に10月22日に行ってきました。
個人的には人生2回目の山伏です。
ここを訪れた理由は、前回9月に一緒に富士山に登った会社の後輩から
「もう一度山にいきたい」という予想外の希望があり、“ちょうど良さそうな山”をチョイスしました。

何をもってちょうど良いのか?? 
“ちょうどいい山100選” なんてのは無いんですけど、
私が選ぶとしたら山伏はその100選に入るでしょう。理由は後述します。
そして後輩は徐々に登山にハマりつつあるのかもしれません。

※ブログ軽量化のため、写真をかなり圧縮していますので、
 画質(階調、解像度)の悪さはご容赦ください。構図が悪いのは腕の問題です。

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概要

今回は登り下りを違うルート希望 という事で、
西日影沢という沢沿いのルートを登り、大谷崩れを下るルートとしました。

登山口:山伏登山口 (静岡市葵区梅ヶ島 駐車場の標高860m)
 登り:西日影沢ルート
 下り:大谷崩れルート 累計標高差 1,370m
体力度:★★★☆☆  累計標高差1,000m~1,500m
技術度:★★☆☆☆  大谷崩れの下りは落石注意

西日影沢を往復するルートであれば、標高差1,200mくらいで多少楽ですし、
ルート上に特別危険な箇所はありません。
ただし、2~3回ほど浅い沢を渡渉する場所があるため、大雨の翌日なんかは要注意です。

晴れていれば山頂からは西方面に南アルプスや白根南稜、
東方面には富士山が見え、360°眺望がすばらしい山です。

地図で見るルートはYAMAPに記録を上げていますので、そちらもご覧ください。

山伏・西日影沢〜大谷崩周回ルート / yattyuさんの山伏の活動データ | YAMAP / ヤマップ

登山口~山頂

駐車場は若干わかりづらく、最後の未舗装路部分はGoogleマップに道がないため
少し注意が必要です。

山伏駐車場 - Google マイマップ
山伏駐車場

静岡女子高校和荘 という場所の少し南に、地図に無い分岐があり、それを川沿いに進むと
左手に駐車場らしき広場が見えてきます。

駐車場へは赤い矢印の方向へ進む

本当にザ・河原っていう場所に駐車スペースがあり、20~30台くらい停められそうです。
この時は私達の他には1台しかありませんでした。
(登山口までの途中、林道沿いの空きスペースに5台ほど車がありました)

AM7:45 駐車場を出発

駐車場の様子。(本人の了承は得ていないので、同僚の顔はかくしておきます。私がブログを書いている事も知らない)

登山口までのゆるやかな林道を20分ほど歩く。
谷筋で風がほぼなく人もいないので本当に静かです。
静寂と安寧を求めて来るべき場所ベスト10を作るとすれば、間違いなくここも含まれるでしょう。
あと9箇所集まったら記事にしようと思います。

山の上部は少し紅葉が進んでいるように見えます。

駐車場から登山口に向かう林道

林道を20分ほど歩くと、山側の斜面にひっそりと登山口があります。
この登山口、知らずにくると通り過ぎてしまうくらい、目立ちません。
登山口付近に登山届を出すポストが無いので、不安な方は事前に県警に登山届を提出しておくか、
所定時間までに連絡しなければ家族から通報してもらうような体制を取っておきましょう。

AM8:05 (スタートから20分)

林道を歩いてくるとひっそりと現れる登山口。山火事用心 が目印

2012年に山伏を訪れた際、私はこの登山口を通り過ぎて30分ほど林道を違う山の方向へ進んでいました。往復1時間のロス!当時はGPSアプリなんて無かったし(言い訳)

途中までは西日影沢沿いのルートで、森の中で緩やかに標高を上げていきます。
前半のペースメイクは前回の富士山の経験を踏まえ、メンバーに任せました。
私は後ろから写真を撮りながらついていきます。

沢の音、苔むした岩に当たる木漏れ日・・・癒しのルートです。

何年も前に壊れたと思われる橋の横を渡渉していく。

真っすぐ整えられた木々の間を縫って歩いていく。

この辺りは、ワサビの生産がされていた場所らしく、ワサビ田の跡が至る所に診られます。

立ち止まると涼しくて、登ると汗ばんできて、
スポーツの秋というのは間違いないですね。

AM8:45 (スタートから1時間)
登山口から約1時間で、大岩に到着しました。いやー凄い迫力です。

大岩恒例の支え棒も、11年前に来た時よりも随分増えている気が(笑)

岩を支えようとしてみる後輩君。
ここで栄養補給と休憩をとります。

大岩を過ぎると沢を横切って、蓬尾根に取り付きます。
癒しの沢とはここで一旦お別れし、ここからが本格的な登の始まり。

景色がここまでとは一変、つづら折りの道でひたすら標高を上げていきます。
ここで飛ばし過ぎると後半でバテてしまうため、私がペースメイク。
登り始めて1~2時間すると体が温まってきて、脚に力が入り過ぎてしまいがちになるので、
はやる気持ちを抑えて意識的にゆっくり、一定のペースで歩きます。

急登でもふと見上げると緑と青空。
標高を上げると周りの尾根や山々とも目線が揃ってきて、景色が変わってきます。

一部、赤色が混じるもみじ

紅葉と書いて「もみじ」なのか「こうよう」なのか。
もみじが色づいてくると、紅葉が紅葉する っていう表現になるのだろうか。 

最低気温が8℃を下回る様になると、赤色の色素(アントシアニン)が多く分泌されるのだそう


AM9:45 (スタートから2時間)

2つ目のポイントとなる蓬峠(よもぎとうげ) 標高1483mに到着。
駐車場が標高860m、山頂が2013mなので標高的には中間地点となります。

蓬峠には手作り感満載の看板がありました。

この看板一つにしても、
誰かが文字をシールに印刷して、板に貼り付けて、
板と棒をビスで止めて、わざわざ家からここまで来て差して行ってくれた訳です。
仮に地元の山であったとしても自分には出来ない事です。

蓬峠にはベンチもあり、南北両方の景色が見えるのでここで休憩しないわけにはいかない場所ですね。

蓬峠にて小休止

ここから先は蓬尾根の上をひたすら進みます。
木の葉の色も随分と黄色や赤色の割合が増えてきました。

紅葉が進む蓬尾根を登る
コケの海

木にキノコが生えている!?と思って触ってみたら非常に硬い物でした。
キノコではないのか?と思って帰ってからGoogleで画像検索すると、
ツリガネタケ という名前の、やっぱりキノコでした。残念ながら食べられないみたいです。


時々小休止を挟みつつ標高を上げて、山頂に近そうな雰囲気の場所に到着。
南アルプスの森林限界は2600mくらいなので、森林限界という標高ではないはずですが、山頂付近は適度に木々が少なくて非常に見晴らしが良いです。

これまで殆ど人と会わなかったのに、さすがに山頂付近には何組かの登山者がありました。
時間的にも皆さんランチタイムですね。


AM11:15 山頂着 (スタートから約3時間)

山頂の西側には南アルプスの山々、東側には富士山が見える、眺望◎な山です。
ところがこの日は昼前頃からガスが湧いてきてしまい、あいにく富士山を拝む事はできませんでした。なので東側の眺望は11年前の画像を載せておきます(笑)
スッキリ晴れたら富士山の全容がバッチリ拝めます。

2012年12月 山伏登山時の写真。 晴れていれば富士山の全容が拝める

山頂西~北にかけては南アルプス南部の眺望。
↓の写真奥の中央は悪沢岳、左側は荒川中岳~前岳ですね、恐らく。
自分が登った事がある山って、不思議と遠くから見ても分かるものです。

山頂についたら南アルプスを拝みながらランチタイム。
私はカレーメシなのですが、スプーンを忘れて後輩に箸を頂き、搔きながら食べる(笑)
ご飯を食べたりコーヒーを飲んだり、1時間ほどゆっくりしました。

山頂で食べると大体なんでもうまい。

山頂~大谷崩れ下山

下りは西日影沢ではなく、ちょっとだけ遠回りして大谷崩れに向かいます。
ご飯を食べてゆっくりしている間に、東の方からガスが登ってきました。
ガスが出ると眺望は無いんですけど、これはこれで雰囲気があります。

山伏山頂から北側は登山者が非常に少ないためか踏み跡が不明瞭になりますが、
赤符はあり、基本的に尾根上を進むルートなので迷う事は無いでしょう。

映えそうな写真を探しながら進む。

なにかしら運搬したリフトかゴンドラの跡でしょうか、金属ワイヤーが残置されています。

残置ワイヤーを使った即興スリックラインコンテスト!
私は10cmも進めませんでした。

プチナイフリッジ的な所を通過しつつ、大谷崩れへ向かう。

山の形から、大きな谷が迫っている事が感じられます。
新窪乗越 という、稜線上の少し下がったいわゆる”コル”に当たる所が大谷崩れへの分岐になります。
コルでは風が通り抜けるため、下から吹き上げる風が強く感じられます。

PM1:30 (スタートから約6時間) 新窪乗越 標高1,857m着

新窪乗越から下を見下ろすと、これから下りる大谷崩れが。
想像していたよりも、大規模にガレてます(笑)

南アルプスって、こういう斜面が崩れた場所、ガレ場がそこらじゅうにあるので、
ここもそんな感じなんだろうと思っていたら想像を超えるスケールの大きさの崩れ具合!
大きい谷の崩れ と書いて大谷崩れ、納得です。

ルートらしきルートはあるのですが、足を置くたびに崩れていき、
半分グリセードの様な、尻セードの様な感じで下って行きます。
これだけの脆さでありながら、よくも今まで斜面の体を成しているなぁと思います。


ザレ場を下り続けること約1時間。
やっとこさ通常の登山道らしい道にでました。
大谷崩れの下部はルートが曖昧で分かりづらいのですが
向かう方向は明確で分かりやすいので、周りの地形(大局)を見つつ足元も見て、
進む方向を見失わない様にしましょう。

大谷崩れをハイキングコースと呼んでいいのかは、疑問を感じる。

大谷崩れ側は1290mという、比較的高い所に登山口があります。
こちら側の登山口には登山ポストがありました。
せっかく登山届を持ってきたので、下山時に登山ポストに投函する。

ここから先は、駐車場までひたすら林道歩き。しかも綺麗に舗装されています。

結構単調なのでソロだとしんどいんですけど、この日は3人で雑談しながら歩いたためか、
そして季節的にも涼しいためか、そんなに長くは感じませんでした。

まとめ

山伏は冒頭にも書いたとおり私がちょうどいいと思う山。
・標高差1300mくらいで楽すぎずしんど過ぎず、
・沢沿いのルートと尾根上のルートあり、
・森の中とガレ場歩き、
・山頂からの眺望も申し分なし、
・最寄りのインター(新静岡)から駐車場まで1時間以内、
・人が少なくて静かな登山が楽しめる

という事で、こんなに沢山の要素をお手軽に贅沢に楽しめる山はなかなか無いんじゃないかと
思っています。

私は一人の時間が結構好きなので、一人で人が少ない山に行って、
最近では泣きそうになるくらい孤独で不安な環境すら楽しめるような変な感覚になってきて、
基本的に一人登山をしてきたのですが、
近頃は登山の楽しさに気づき始めた人が周囲にポツポツ現れはじめたので、
彼らが本当に好きな登山を楽しめるようになるまでの、入り口までのサポートくらいは出来ればいいなと思います。
実際、登山って登る人みんな、やりたい事や理想、目標は皆違うと思いますので、
本当にその人がやりたい登山と私のモチベーションが一致するとは限りません。
嫌々付き合うのも嫌ですし、付き合ってもらうのも申し訳ないので、
あくまでその人がやりたい登山の世界の入り口までのサポート。

そこから先は100名山、雪山、バリエーション、岩、縦走、沢登り、バックカントリー、8000m制覇などなど、波長や目標が合う人を探していくべきです。

そして後輩が次に「山に行きたい」と言ったら、登る山やルート、時間割りを考えてもらおうかなーと思います。連れて行って貰うだけでは成長しないので。

おまけ:大谷崩れについて

下山した側の登山口(大谷嶺登山口)に、大谷崩れについて解説する看板がありました。

歩いている最中は、南アルプスには至る所にガレ場や崩落地が有るので、
「大谷崩れもその一つなのかな~?」くらいの感覚でいましたが、実は宝永の大地震(1707年)によるものなんだそうです。
記載によると、ダンプ2000万台分 という途方もない量の土砂が崩れたとの事。

ところで『宝永』という言葉、聞いたことありませんか。

そう、富士山の中腹にある宝永山。
宝永の大地震の49日後に噴火して、富士山にぽっかり穴をあける大噴火だったそうです。

富士山の中腹に超弩級の穴を開けた「宝永大噴火」の恐ろしさとは
見 ...

宝永地震の前もその後も、南海トラフではだいたい100年~150年おきにM8クラスの大地震が起こっているから、「今後30年以内に大地震が高確率であります!」っていう話なんですね。

宝永地震の後には
1854年 安政東海地震、安政南海地震 M8.4
1944年 昭和東南海地震 M7.9
といった南海トラフを起点とした大地震が定期的に発生しています。
1944年の100年後に来るなら次は2044年です。

ところで、100年以上前の時代に震度やマグニチュードはどうやって計ったのかな??

私は小学生の頃に兵庫県神戸市在住で阪神大震災を経験しており、
地震の大変さは身に染みてわかった上でですが、
300年前の地震の痕跡(大谷崩れ)の上を歩くというのは、歴史ロマンを掻き立てられます。
歩く前に知っておきたかったー!

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